エホバの証人問題

まず、本文書の執筆にあたり、エホバの証人の現役信者を批判する意図や彼らの信教の自由を奪う意図は全くないことを宣言致します。現役信者の信教の自由を確保しつつ、二世信者を始めとする信仰を持たなくなった者の信教の自由を保証したり、児童虐待を防止することが必要だと考えております。

エホバの証人問題を理解するには、ムチや輸血などの問題だけでなく、忌避(村八分、無視)問題を理解する必要があります。輸血もムチも忌避によって脱会が困難なこと(やめにくい)が背景にあるからです。実際に、第三者によってハイコントロールな宗教であると分析されており1、脱会が困難な宗教であることが理解されています2

エホバの証人問題を非常に簡潔に説明すると、教団が推奨する若年・未成年でのバプテスマにより脱会が困難になり(バプテスマを受けると正式信者となり脱会時に忌避を受けるのが理由)、ムチや輸血などの目立つ教理だけでなく、他の教理(大学進学問題、学校行事不参加問題、集会・奉仕問題)を徹底させられるという構造になっています。その背景には、教団組織に絶対服従しなければならない(批判的なことを口にすれば排斥の上、忌避)教理があり、これにより二世信者だけでなく親信者も一世信者も問題を抱えます。

一般社会から見れば「脱会すればいいではないか」と思われるかもしれませんが、二世問題の根幹は親も信者であるために簡単に辞められないことにあります。つまり、親からも忌避(縁を切られる)されるために、それが恐怖でやめられないのです(経済的・精神的に自立できない年齢の上、成人しても大学教育等を拒否されて社会に放り出されるため、適応できない恐怖もあります)。

エホバの証人問題を理解するおすすめの手順

理解を進めるに際して、次の手順で理解することをオススメします。
①まずはバプテスマの欄をご覧ください(二世がさらされる環境をご理解ください)。
②次に、教理の欄をご覧ください(輸血、ムチなどの教理をご理解ください)。
組織の欄をご覧ください(「組織への忠節」と称した絶対服従のルールの背景をご理解ください)。
④エホバの証人をやめる手続きである排斥・断絶の欄をご覧ください。
⑤最後に忌避の欄をご覧ください。

本ページでは、上記を踏まえて、3つの論点を探索します。1つ目が「強制」があったのか?です。「強制」は児童虐待でしばしば問題になる要件です。2つ目は児童虐待に当たるような教理なのか?です。法律に基づいてご説明します。最後に、忌避という教理がメンタルに与える影響について解説します。

教理を「強制」しているのか?

2022年11月7日の毎日新聞では、ムチに関してエホバの証人の教団は「強制していない」と主張しました。一方、教団内に在籍して教団の指導を実際に体験したエホバの証人二世には「強制はあった」と主張します。何が起こっているのでしょうか?ムチに関すること以外にも大学進学、教理に従うことなど、強制力が働いていると思われる報道があります。

※なお、エホバの証人の教団内にも喜んで教理を信じている者はおられます。本稿は、そのような方の信仰の自由を奪う趣旨は一切ございません。

そもそも「強制」とは何か?

辞書によれば、「強制」とは「相手が快諾しない物事を有無を言わせずに押し付けること」です。以下では、この言葉の定義に基づいて強制があったのか見てくことにします。

特有の組織構造による強制力

教団は信者に対して「組織への忠節(組織の言うことに従うこと)」を明確に強く求めます。

「組織への忠節」の教義の本質は、この組織(統治体)への批判をしてはいけない、というものです。すなわち、ハルマゲドンの預言を外そうが(別項)、聖書を都合よく翻訳しようが3、輸血拒否など科学的根拠の乏しい教義により信者やその子が死のうが4、組織を批判してはいけません。組織への批判は排斥事由(排斥について別項)とされます。そのため、信者にとっては絶対のタブーとなっています。

組織(統治体)の教理に従わない場合、以下のような相互監視体制や巡回監督による指導により早期発見され排斥等がなされます。排斥者には忌避がなされます。忌避により人間関係を失うことを恐れてやめられない構造があります。そのため、教理に従うしかないと考える者もいます5

絶対服従な組織風土のもと、排斥者に対して忌避という制裁を加えて教理を実施させることは強制とは言えないでしょうか?

「ハルマゲドンで滅ぼされる」という脅しによる強制は?

宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&A(厚労省、22年12月)」の問3−1には、「「滅ぼされる」などの言葉や恐怖をあおる映像・資料を用いて(中略)、恐怖の刷り込みを行うことは心理的虐待に当たる」としています。

ハルマゲドンは「この世の終わり」のことを指します。エホバが悪魔サタンに支配されたこの世を終わらせエホバの支配下に置く際、この世を終わらせるために必要なのが「ハルマゲドン」であり、「ハルマゲドンの戦争」「ハルマゲドンの裁き」などとも表記されるが同じ意味です。空から火が降ってきて、エホバの証人以外を選択的に殺害し、エホバの証人だけは生き残ると教団は教えています。

ハルマゲドンの教理を児童に刷り込むことは児童虐待である可能性が高いと言えます。上記の通り、教理はハルマゲドンを生き残って神の楽園に行くことであり、逆に言えばハルマゲドンで滅ぼされないことである。教団は集会や聖書研究においてそう教えますし、親信者は当然「集会に行かないとハルマゲドンで滅ぼされる」と子どもに教えます。このような言い方をすれば、「快諾」がないばかりか「有無を言わせずに押し付ける」ことに該当すると解され、「強制」に当たると言えるでしょう。

加えると、児童に対して「◯◯しないとハルマゲドンで滅ぼされるぞ」というのは間違いなく児童虐待と言えます。

会衆での相互監視体制による強制は?

エホバの証人は会衆という単位で集まり合います。会衆は顔を覚えやすい人数で、信者は毎週2回の集会を欠かさずに出席し、伝道(奉仕とも言う、別項)も行うため、週に3回以上も顔を合わせる間柄となります。自然と人間関係は濃密になる。このような濃密な人間関係が教理の運用を強化します。

つまり、集会前後の非公式な場や、伝道中に現実に顔を合わせることで信者の信仰態度を相互に監視しやすい環境なのです。例えば、組織への批判は絶対にタブーであるためこのような会話はなされれば即座に通報されます。服装(例えば女性信者はロングスカートを履く)や振る舞いなどでも信仰を内面化しているかは判断できます。信者同士でも直接顔を合わせるだけででその人の信仰の状態を判断できますし、幹部信者が平信者を見ればすぐに判断できます。

このようなことについて、龍谷大学教授の猪瀬優里氏は著書の中で「幹部層が信者の行動パターンの変化に気がついた際には、どのような心境・環境の変化があったのか、事情を問うことができる。このような監視体制によって、脱会しそうになった信者を留めおく圧力をかけることが可能になる」と説明しています6

巡回監督による強制

巡回監督の口頭での指導は信者に多大な影響を及ぼします。指導の一環として、巡回訪問中に、巡回監督は信者からの相談を受けることが多いのですが、相談事項には、例えば、子どもを大学に行かせても良いのか?鞭をどの程度すればいいか?など後に述べる児童虐待につながるようなものもあります。これは教団の発行する出版物が大量にあって、教えが変化しているために、信者にとっては最新の指導を求めるという側面があります。

巡回監督はこのような相談に対して口頭で指導します。信者の信頼を背景に監督の立場を通して行われる指導は信者に絶大な意味を持ち、信者の行動を支配します。そして、神権組織の項で述べたとおり、組織批判は絶対的タブーのため、巡回監督の指導にも異議を唱えることは困難であり、相談した信者は従わざるを得ません。結果、上記の例で言えば、巡回監督が大学について好まくないとの指導をすれば親は子を大学に行かせない。また、鞭が好ましいとの指導をすれば親は鞭をするといった具合です。

上述の通り、巡回監督の指導は口頭のため証拠が残りにくいものの、教団教理を実際に運用するために強力な役割を果たしているのです。

「忌避」という村八分を背景にした強制

エホバの証人には、忌避と称した村八分制度があります。村八分制度を中心として、信者に恐怖を与える。教団は排斥を「懲らしめ」であるとしており「愛ある取り決めである」と主張しています。例えば、以下のような記載がある。

教団文書「自分を神の愛のうちに保ちなさい」

親族であったとしても、親族と関わりを持たないと書かれており、これを通じて信者が何を感じるかといえば、排斥されて人間関係の一切を失う恐怖です。

教団文書「自分を神の愛のうちに保ちなさい」

このような脅しを背景にして信者は人間関係を失う恐れを持ち続けます。信者であり続けるとすれば、既に述べたような強制力を受け続ける事になります。

まとめ

いくつかの角度から検討してきましたが、信者によっては強制はあるものと考えられます。明確にあるのは、未成年の二世信者に対する教理の強制です。以下に示す通り児童虐待に該当する案件が多数あり強制を伴うものと理解出来ます。

一方、成年の一世信者に関して本人が喜んで従っている場合には強制はないものと思われます。しかし、一旦組織の教理に疑問を持ち、辞めたい意思を感じるようになると話は別です。社会学者が分析する通り脱会困難な宗教であり7、ハイコントロールであることから8、強制力は強いと言えるでしょう。

児童虐待

宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&A、厚生労働省、2022年12月27日

2022年12月27日、厚生労働省から「宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&A」が出されました。このQ&Aは、エホバの証人教団内で行われる宗教的虐待も児童虐待防止法で定められている虐待(心理的虐待、身体的虐待、性的虐待)になることを明確に示したものです。

一般の方に知っていただきたいのは宗教虐待が児童虐待になり得るという事実と、エホバの証人の教団内で行われている宗教虐待は児童虐待の可能性が高いということです。本ページでは、なぜエホバの証人教団内で行われている事が児童虐待だと言えるのか、その可能性について説明します。

「ハルマゲドンで滅ぼされるぞ」教理に内在する虐待

ハルマゲドンとは「この世の終わり」のことを指します。エホバが悪魔サタンに支配されたこの世を終わらせエホバの支配下に置く際、この世を終わらせるために必要なのが「ハルマゲドン」であり、「ハルマゲドンの戦争」「ハルマゲドンの裁き」などとも表記されますが同じ意味です。教団は、空から火が降ってきて、エホバの証人以外を選択的に殺害し、エホバの証人だけは生き残ると教えています。

宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&A(厚労省、22年12月、以下「宗教虐待Q&A」と言います)」の問3−1には、「「滅ぼされる」などの言葉や恐怖をあおる映像・資料を用いて(中略)、恐怖の刷り込みを行うことは心理的虐待に当たる」とされています。

教理はハルマゲドンを生き残って神の楽園に行くことであり、逆に言えばハルマゲドンで滅ぼされないことである。教団は集会や聖書研究においてそう教えますし、親信者は当然「集会に行かないとハルマゲドンで滅ぼされる」と子どもに教えます9

上記から、親が子に「教理に従わなければハルマゲドンで滅ぼされる」と教えるのは心理的虐待であるのは間違いがありません。

教団の責任が問えるかといえば、教団は聖書研究や週2回の集会及び大会への参加を通じて、「エホバに従わなければハルマゲドンで滅ぼされる」とする教理を繰り返し学習することを求めており刷り込んでいると言えますが、親ではないため法律上の「保護者」ではない(児童虐待の防止等に関する法律第1条)。そのため、教団については法律が適用できず野放しの状態にあると言えます(刑法上の脅迫、その教唆に当たるか議論はありますが、実務家から見れば本事案に脅迫、教唆の適用は困難だと思われます)。

集会・大会による虐待

集会とは、週2回、それぞれ2時間程度で開催される会合のことです。賛美の歌や祈りで始まり、終わる。以下のように、曜日ごとに趣の異なる講演等がなされます。主に土日に行われるのが、公開講演とものみの塔研究(2時間程度)、平日に行われるのが神権宣教学校、奉仕会、書籍研究等です(2時間程度、時代により変わってきました)。

大会とは、大規模な集会です。年に一度のペースで開催される大規模(例えば、九州などの単位で行われる)な「地域大会」と、年に2,3度のペースで行われるより小さな規模(例えば、福岡第一巡回区などの区域ごとに行われる)の「巡回大会」があります。

宗教虐待Q&A」問3−1によれば、恐怖の刷り込みを行うこと、児童を無視する・嫌がらせをする等拒否的な態度を継続的に示すことで、宗教活動等への参加を強制することは児童虐待(心理的虐待)に該当するとされています。

そのため、親が子に対して集会・大会への参加をするように強制するのは児童虐待に当たります(背景に「ハルマゲドンで滅ぼされる」という思想があるため、恐怖の刷り込みをしていると言えます)。

教団の責任が問えるかといえば、教団は聖書研究や週2回の集会及び大会への参加を通じて、「エホバに従わなければハルマゲドンで滅ぼされる」とする教理を背景にして証言することを求めていますが、親ではないため法律上の「保護者」ではない(児童虐待の防止等に関する法律第1条)。そのため、教団については法律が適用できず野放しの状態にあると言えます(刑法上の脅迫、その教唆に当たるか議論はありますが、実務家から見れば本事案に脅迫、教唆の適用は困難だと思われます)。

伝道(宣教、奉仕)による虐待

2022年に行われた調査では、エホバの証人の2世信者は、9割近くが「戸別訪問の勧誘」などを、教団や家族から求められていたことが分かっています10

伝道(宣教のこと、奉仕とも言います)は概ね三種類あります。1つ目が「家から家」と呼ばれるものです。これは、個別宅のインターホンを鳴らして訪問し、勧誘行為をすることです。次に、「カート奉仕」と呼ばれるのは、駅前などの人通りの多いところに車輪付きで移動させやすい看板を置き、その周辺で通行人に声をかけて勧誘をすることです。最後に、「電話証言」と呼ばれるのは、電話番号のリスト(タウンページなどが使われる)に基づいて電話をかけて勧誘行為を行うものです。

宗教虐待Q&A」の問3−5を要約すると、宗教の布教活動への参加を強制するために「ハルマゲドンで滅ぼされるぞ」等と脅迫したり拒否的な態度を示したりすることは心理的虐待に当たります。

そのため、親が子に対して伝道をするように強制するのは児童虐待に当たります。

教団に対してはどうかと言えば、「宗教虐待Q&A」問3−5は「脅迫又は暴行を用いた場合には、刑法の強要罪に該当する可能性もあるため、こうした事例への対応に際しては警察と迅速に情報共有を図る等の連携した対応が必要である」としています。これは、教団の行為は児童虐待防止法には当たらないものの、刑法に該当し得るとしたものです。ただし、実務家から見れば本事案に強要の適用は困難だと思われ、法整備が待たれます。

証言(友人等への信仰の告白)による虐待

「証言」とは、友人や学校の先生などに自分がエホバの証人であることを告白することを言います。告白するだけでなく、勧誘を行うことも含みます。

二世信者が証言をする目的は学校行事への不参加のため等です。エホバの証人は学校行事への制約があります。例えば、教理のために国歌・校歌斉唱も、そのための起立もしません(異教の崇拝にになるため)。また、教理に反するスポーツ(例えば柔道などは戦いになるため教理に反するという)もしません。さらに、友人関係においても誕生日イベントに参加出来ないし、クリスマスイベントに参加できません。二世信者はこうした学校行事に参加できない理由を説明し、先生に然るべき処置をとってもらうことが必要であり、その目的で証言を行います。

宗教虐待Q&A」問3−4によれば、児童本人が宗教を信仰していないにもかかわらず信仰している旨を宣言することを強制する行為や、児童本人が自身の信仰する宗教等を他者に知られたくない意思を有していることを考慮することなく、他者に対して信仰する宗教等を明らかにすることを強制する行為は児童虐待(心理的虐待)に当たります。

そのため、親が子に対して証言をするように強制するのは児童虐待に当たります(背景に「ハルマゲドンで滅ぼされる」という思想があるため、恐怖の刷り込みをしていると言えます)。

教団の責任が問えるかといえば、教団は聖書研究や週2回の集会及び大会への参加を通じて、「エホバに従わなければハルマゲドンで滅ぼされる」とする教理を背景にして証言することを求めていますが、親ではないため法律上の「保護者」ではない(児童虐待の防止等に関する法律第1条)。そのため、教団については法律が適用できず野放しの状態にあると言えます(刑法上の脅迫、その教唆に当たるか議論はありますが、実務家から見れば本事案に脅迫、教唆の適用は困難だと思われます)。

大学進学の拒絶による虐待

2022年に行われた調査では、エホバの証人の2世は他の宗教の二世信者に比較して大学進学率が低かったことが分かっています。また、6 割以上の2世信者は、学業や就業の面で、制限を経験していたことも明らかになりました11

教団は出版物で信者に高等教育を推奨していません121314。この背景には、もうすぐハルマゲドンが来てこの世で必要なことはいらなくなるからという見方があります。

「宗教虐待Q&A」問4−2によれば、「世界は破滅するので、学校に行くことは無駄である」など諦めさせようとすることにより進学を禁止するような行為は児童虐待(心理的虐待)に該当します。

そのため、親が子に対して進学を諦めるように強制するのは児童虐待に当たります(背景に「ハルマゲドンで滅ぼされる」という思想があり、厭世的価値観が背景になっています)。

教団の責任が問えるかといえば、教団はハルマゲドン教理を背景にして上記教理を教えていますが、親ではないため法律上の「保護者」ではありません(児童虐待の防止等に関する法律第1条)。そのため、教団については法律が適用できず野放しの状態にあると言えます。

ムチで打つのは児童虐待

2022年に行われた社会調査支援機構チキラボの調査では、エホバの証人2世のうち8割以上が「家族からの体罰を経験した」と回答しました15。また、近年でも鞭を受けた被害者による証言が多数ある16171819

宗教虐待Q&A」問4−2によれば、宗教活動等への参加を強制することも含め、理由の如何にかかわらず、児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある体罰を行うことは児童虐待(身体的虐待)に該当します。

そのため、親が子に対してムチをするのは児童虐待に当たります。

教団の責任が問えるかといえば、教団はムチの教理を信者に教えた証拠が多数ありますが、親ではないため法律上の「保護者」ではありません(児童虐待の防止等に関する法律第1条)。そのため、教団については法律が適用できず野放しの状態にあると言えます。

教団は毎日新聞の取材に対して「方法は各家庭で決めることだが、体罰をしていた親がいたとすれば残念なことだ。教えを強制することもしていない」とコメントしています20。また、後日、毎日新聞の取材に対して「1990年代には誤った解釈でむち打ちなどがされていたことは聞いている」と答え、鞭がなされたことを認めたものの、責任を信者側に転嫁しています21

他方、このような教団側の態度を無責任と考える元2世信者が謝罪要求をするなどしています22

まとめ

上記の通り、教団の教理は児童虐待の可能性が高いと言えます。

一方で、児童虐待防止法は親子関係を念頭において法律であり、そもそも教団が関係する宗教虐待を念頭に置いたものでありません。そのため、教団行為に関しては事実上野放しになっており、対策が待たれます。なお、現行法制度でできることについて整理した資料を掲示します。

エホバの証人の教理はメンタルに悪影響があるのか?

既に述べた通り、エホバの証人は組織への批判が許されず、排斥に伴う忌避によって脱会が困難なこと(やめにくい)を背景にして23、要求が多い(ハイコントロール)な宗教であると分析されています24

学術文献での提示内容

出典

  1. Leaving the Jehovah’s Witnesses: Identity, Transition and Recovery, HEATHER J RANSOM
  2. 脱会プロセスとその後 : ものみの塔聖書冊子協会の脱会者を事例に、猪瀬 優理、宗教と社会2002 年 8 巻 p. 19-37
  3. エホバの証人の使う聖書(新世界訳)には様々な批判がある。さらに詳細にはこちらをご覧ください。
  4. 神戸大学の資料に詳しい
  5. 本サイトに掲載された学術論文には二世信者の証言としてそのような葛藤があったことが述べられています。特に、「脱会プロセスとその後」「Leaving the Jehovah’s Witnesses: Identity, Transition and Recovery」には記載が豊富です。
  6. 「カルトとスピリチュアリティ」櫻井義秀編著,P116,第3章・猪瀬優里氏の論文タイトルは「脱会過程の諸相」
  7. 脱会プロセスとその後 : ものみの塔聖書冊子協会の脱会者を事例に、猪瀬 優理、宗教と社会2002 年 8 巻 p. 19-37
  8. Leaving the Jehovah’s Witnesses: Identity, Transition and Recovery, HEATHER J RANSOM
  9. 『宗教2世』当事者1,131人への実態調査,チキラボ,2022年
  10. 『宗教2世』当事者1,131人への実態調査,チキラボ,2022年
  11. 『宗教2世』当事者1,131人への実態調査,チキラボ,2022年
  12. 教団文書「高等教育はモラルや神様との関係を損ないかねない
  13. 教団文書「親の皆さん ― お子さんにどんな将来を望んでいますか
  14. 教団文書「大学教育 ― 何に対する準備?
  15. 『宗教2世』当事者1,131人への実態調査,チキラボ,2022年
  16. 『解毒 エホバの証人の洗脳から脱出したある女性の手記』角川書店、坂根真実、2016年。ISBN978-4-04-103709-6。
  17. 信者家族「たたかれた子」と親の間の埋まらない溝 「信仰心による体罰」責任を負うのは親だけか” 東洋経済オンライン
  18. ムチを打てない人は「子どもをサタンから守れない人」 “エホバの証人”元二世が明かす異常な“懲らしめ”の実態”. 文春オンライン
  19. 毎日フラッシュバックする「宗教虐待」の心の傷 宗教2世を苦しめ続ける「時間の献金」と体罰、東洋経済オンライン,2022年
  20. 「親から体罰、希望していた受験もできず」 エホバの証人3世訴え,2022年11月7日,毎日新聞
  21. エホバの証人、子どもへの「むち打ち」はなぜ? 教団広報に聞く,2023年1月5日,毎日新聞
  22. エホバの証人による児童虐待を公式否定した教団広報に撤回と謝罪を求めます(Change.org),2022年
  23. 脱会プロセスとその後 : ものみの塔聖書冊子協会の脱会者を事例に、猪瀬 優理、宗教と社会2002 年 8 巻 p. 19-37
  24. Leaving the Jehovah’s Witnesses: Identity, Transition and Recovery, HEATHER J RANSOM